泥棒・詐欺師犯罪例から考える防犯対策

実際にあった泥棒や詐欺のリアルな手口を犯罪者側の目線で物語風にご紹介。犯罪から身を守る手法を身につける参考にお役立てください。

意外と甘い?カードローンやサラ金の融資の審査

新聞に25人分の名義を使い、借金しまくった大阪の主婦が報道されていた。

新聞に載ったインタビューでは、
本人は犯行を否定しているが、さ
て皆さんは、この事件にどんな感
想を持たれるだろうか。


サラ金のチェックは思ったほど
厳しくなく、そういう審査の抜け
道があるのではないかと思った人
も多いだろう。


様々なお金貸しで働いていた私
の経験からするに、実際そのとお
りである。
サラ金の審査は厳しく、そこで
厳密な審査が行われているという
のは、ある意味、見せかけに過ぎ
ない。

融資できる客かどうかの見
極めだけに熱中しすぎて、肝心の
本人確認などが置き去りにされて
いることも多い。こうしたサラ金
の内部事情を知ることによって、
そこには一般的に思われているの
とは違う別のサラ金像が浮かび上
がってくることだろう。


特集の始めにサラ金とはいった
いどういうところなのか。

サラ金は金を貸したがっている
というのは、長らく金融業界で働
いてきた私の率直な感想だ。

返済で苦しんでいる債務者とは対照的
に、サラ金の側は融資したくてた
まらないのである。

審査が厳しい
とか、なかなか融資してくれない
というのは、一部の見方に過ぎない。
サラ金は金を貸して利息を取る
のが商売なんだから、それは当た
り前のことではないかと思う人が
いるかもしれない。しかし、物事
には程度というものがある。


昔からサラ金の過剰融資による
多額債務者の存在や、毎年の
自己破産者の増加などが一種の社
会問題とされてきた。

これはサラ金のむやみやたらな融資に起因し
ているものであり、ここでサラ金
は回収に自信があるから融資をす
るのだと言ったところで、それは
言い訳に過ぎないだろう。


いわば個人の返済能力を無視し
て、過剰な融資を続けているのが
今も昔も変わらないサラ金の体質
である。
また、サラ金というと過激な督
促を思い浮かべる人が多いだろう
が、利息で飯を食っているサラ金
にとって一番大事なのは、より多
くの客により多くの金を融資する
ことである。融資と回収は一枚の
カードの表裏みたいなものだが、
融資してこその回収であり、融資
こそがサラ金の一番大事な業務な
のだ。


極論で言ってしまえば回収業務
はオマケみたいなもの。いかに宣
伝して優良な客を集め、どれだけ
多くの金を貸し付けられるかに全
てがかかっていると思えばいい。

以前、私は数社のサラ金に勤め融資の決裁業務を任されていた。とい
っても、いきなりそういう立場になったわけではなく、回収(管理)
や受付業務を相当経験した上での話だ。
誤解してほしくないのは、決済
権があるⅡエライ、のではなく、
単に支店の売り上げから管理業務
について全ての責任があるという
意味に過ぎないことだ。

わかりやすくいえば、売り上げ(融資)ノ
ルマが達成できなかったら、本社
から鬼のような串塁萌が雨嵐でかか
ってくるとか、本社に呼び出しを
食らって猛烈な説教を受けたり、
下手したら首が飛ばされるといっ
た、非常に怖ろしい立場にあった
と理解してもらえばいいだろう。


責任はあっても権利などはない。
大手サラ金はどこも気前よ
く貸してはくれるが、一度でも返
済が遅れようものなら二度と融資
はしてくれない。延滞客には人海
戦術で回収するか、一気に法的処
理に持ち込むなど、人と金にもの
を言わせたパターンをよく使うの
が特徴だ。
一方、中規模のサラ金は審査に
これといった統一性がない。審査
が細かいところは徹底して細かい
し、反対に大雑把なところは大雑
把と、会社によってまちまち。ま
た回収の面においても、何が何で
もしつこく回収しろというところ
もあれば、あまり深追いしても人
件費など経費がかかるだけだから、
ほどほどでいいというところもあ
る。これはもう本社の考え方の違
いとしか言いようがない。


小規模のサラ金はさらにアバウ
トだ。前記したように、この手の
サラ金に来るのは、大手や中規模
のサラ金から借りまくった客ばか
り。借入件数が7社だの8社だの、
金額にして300,400万円も
珍しくない。


こうした場合、審査の拠り所と
しているのが「他社での支払実績」
だ。

他社で延滞してなければ、

当社で融資しても延滞しないだろう、
という単純な至鵠圭的観測でどんど
ん融資してしまう。
どうせ会社の金ということもあ
るが、それ以前に客層が悪いので、
受付票に書かれた事柄でいちいち
考えていたら、貸せる客などいな
くなってしまうのだ。
だから、この手の小規模サラ金
は、一度客をつかまえるとなかな
か離さない。返済が遅れたところ
で、「延滞がなければ、あと×万
円の融資ができるんだけどなぁ」
と口説き、何度でも借りてもらう
のが常識だ。
客も客で、二度と融資してくれ
ない会社には返済などしないが、
「金を貸す」と言われるとすぐに
返し、また借りる。となれば、業
者にしてみても、延滞件数は減る
わ売り上げはアップするわで、表
面上はいいことだらけなのだ。

と、このように会社の規模によ
り審査基準や延滞処理は異なるが、
どこにも共通していえるのが、
「他社で支払延滞中」か借り入
れ件数が多すぎる」場合には貸さ
ない、ということ。

逆にいえばその条件さえクリアしていれば、

誰にでも貸すと考えていいだろう。