泥棒・詐欺師犯罪例から考える防犯対策

実際にあった泥棒や詐欺のリアルな手口を犯罪者側の目線で物語風にご紹介。犯罪から身を守る手法を身につける参考にお役立てください。

踏み倒しは絶対させない借金取りの取り立て回収方法

まずは一般のサラ金。これ
は主に下表に示したとおりだ。
どんなものだろうか。この
程度なら親しい友人や付き合
いの深い会社の同僚になりす
ましても、答えられそうな質問ばかりだろう。

もちろん会社によって項目
は異なるが、内容は似たり寄
ったりで、深く突っ込んだ質
問をされることは少ないと言
っていい。
大手企業の社会保険で配偶
者がいてと、平均的な社会的
信用があれば、こんな簡単な
受付で「10万円どうぞ」と言
われるのだから笑ってしまう。


私はサラ金に融資を申し込
んだことはないが、反対にサ
ラ金での受付業務はよくやっ
ていた。その経験上言えるの
は、単に受付票に必要事項を
書かせることが受付だと考えている

サラ金が多いということだ。


もちろん、居住年数や勤続
年数が会社の規定に達してい
なければ、前住所や勤務先を
聞いたり、女性には旧姓を聞
くこともあるが、それも会社
の受付規則として行っている
だけというケースが多い。


私などは暴力金融から普通
のサラ金に転職したので、当
初のころは非常に戸惑った。
それまで新規の受付というの
は、根ほり葉ほり聞くのが当
たり前だと思っていたのに、
単に望冒いてもらうだけ」の
受付をしろというのだから、
これじゃ寝てろと言われてる
も同然である。


疑問に思った点を客に問い
詰めると「そんな細かいこと
は聞くな。受付に時間をかけ
るな。客が嫌になって帰って
しまうだる」と、上司によく
怒られたものである。
それでも中小規模のサラ金
なら、受付で疑問に思ったこ
とを突っ込んで聞く場合もあ
るが、これは会社の規則とい
うより、担当者の経験からき
ていると言っていい。

 

というのも、小規模のサラ
金は従業員数も少ないので、
1人でほとんどすべての作業
をやらねばならず、管理(回
収)担当者が受付をすること
も珍しくない。そうなれば、
ふだん回収で苦労しているぶ
ん、ちょっとでも不審な点が
あると、突っ込んで聞きたく
なる。

 

早い話が「もし延滞さ
れたら」ということを念頭に
置いて受付してしまうのだ。
だた、しつこく問い詰めると、
当然客も嫌がるのだが。


余談だが、電話受付で融資
OKのサラ金なら、女性が電
話に出るまで何度もかけ直し
た方がいい。その手の会社の
女性は、まず回収経験はゼロ。

受付は絶対に甘い。


では、暴力金融の場合はど
うか。私のやっていた経験で
いうと、これはもう一般のサ
ラ金とは天と地。まさに重箱
の隅をほじくるようなことま
で突っ込んで聞かれると考え
ていい。


それは、もちろん「踏み倒しは絶対させない」

という大前提があるからだが、だいた
いこの手の業者を訪れる客は、
どこからも金を借りられない
多額多重債務者ばかり。何が
何でも金を借りなければとい
う事情があるため、どんなに
突っ込んだことを聞いたとこ
ろで嫌になって逃げ帰ってし
まうことはまずない。

自然、こちらの対応も

「はよ受付票に書かんかい!」

「てめえ、嘘こいてるんじゃね-だろな!」の世界である。
そこで、まずは貸した後の
効率よい集金を考え、「会社
の残業の有無」「帰宅時間」
「通勤方法」「車の車種・塗
色・ナンバー・保管場所」
「家族の勤務先や学校とそれ
ぞれの帰宅時間」を聞く。た
だしストレートに聞くと嘘を
付かれる場合があるので、
「仕事とかは忙しいんか?」
「じゃ、残業とかやってるんだな」

と、事前にフエイント
をかけておくのがポイントだ。


相手を見極めるのも重要で
ある。冗談じゃなく、回収で
訪問した際、「私は本人では
ない」とトボケる奴もいたり
(借用害には拇印を押させて
はあるのだが)、マンションな
どの場合は駆け足で自分の部
屋に逃げ込んで、そのまま絶
対に出て来なかったりするヤ
シもいるのだ。よって、貸す
側はどうしても相手の身体的
特徴を把握しておく必要が出
てくる。


具体的には「身長」「体重」。
これは本人から聞き、客が帰
った後、「人相」「メガネ使用
の右姓小」「形状」「しゃべり方
の癖」「タレントの誰に似てるか」
などを受付票に書いておく。

また「どこの新聞を取って
いるか」というのも、よくす
る質問だ。実際には「新聞広
告を出すときの参考までに」
という聞き方をするのだが、
これの意味するところは、新
聞を取っているかどうかを確
認した上、居留守を使って出
てこない野郎の家で張り込み、
相手が郵便受けから新聞を取
り込む際に取り押さえようと
いうものだ。


そんなにうまくいくのかと
疑問に思われるだろうが、私
の経験上、この手はなかなか
有効である。
この他、持っている資格や職歴を聞くことも多いc返済
が滞り、夜逃げを企むような
野郎は人材派遣とかパチンコ
屋とか、いわゆる「寮完備」
のところに逃げ込むのが一つ
のパターン。

そこで、事前に溶接の資格があるとか、パチ
ンコ屋で働いたことがあるな
どと聞いておけば、夜逃げ先
を調べる手がかりになるのだ。
実際、これで何十人もの夜逃
げ先を割り出したことがある。
あとは相手の社会的弱点である。

 

簡単に説明すると、そ
の個人の弱味と言おうか、い
わば失っては困ることである。
普通に考えても、会社員な
ら会社をクビになれば困るだ
ろうし、借金のことが配偶者
にバレるのも嫌だろう。親・
兄弟・親戚などに知られても
困るはずだ。


相手が借金を律儀に返済す
るかどうかは、いかに相手の
弱味を握っているかという点
にかかっている。会社の上司
や社長の名前、近隣者の名前
は普通のサラ金でも聞いたり
することもあるが、暴力金融
の場合はもっと踏み込む。


例えば結婚していれば、配
偶者の親の名前と住所、電話
番号を聞くのは一番い
いのは配偶者の親の勤務先と
役職を聞き出すこと。返済が
なければ「ご相談したいこと
が」と、勤務先に頻繁に電話
を入れるだけだ。


そこで無視されたら、配偶
者の実家にベンツで直行。も
ちろんヤクザさんの身なりで
ある。そして、相手が留守の
時間帯を見計らってご近所さ
んに

「**さんに用事があっ
て訪ねたんだが、留守なよう
だな。いつも何時ごろに帰る
んかね」

 

なんてわざとらしく聞いてやる。

たかだか数十万円の事で嫌な思いをしたいですか、

ってワケだ。
ま、こんなのはほんの軽い
一例だが、これだけでも相手
の弱点をそれとなく聞き出す
理由がわかるだろう。
私に言わせれば、本来の受
付とは単に必要事項だけを聞
くだけではダメで、いかに相
手の社会的弱点を聞き出せる
かが重要なのである。