泥棒・詐欺師犯罪例から考える防犯対策

実際にあった泥棒や詐欺のリアルな手口を犯罪者側の目線で物語風にご紹介。犯罪から身を守る手法を身につける参考にお役立てください。

生活保護の不正受給がバレるとどうなるのだろうか

生活保護と聞いて、読者はどんなイメージを浮かべるだろうか。
病気やケガで働けない人、身よりのない母子家庭、あるいは共働き
だが低収入のため子供が養えない大家族、といったところか。

生活保護とは正確にいえば収入。貯蓄が各自治体が定めた必要最低限度額に満たない人々に払われる公的な援助制度のことだ。

主な内容は、税金・年金の減免、
公共料金の免除、銭湯や公共施設
の無料券の配布、そして保護金の給付である。

金額は地域や本人の家庭事情などによって大幅に異なり、例えば都内に住む40才以下の
男性単身者なら、月額13〜15万程度が相場。子供の多い大家族になると、1世帯あたり20万にも膨らむ。

もっとも、これとてあくまで前例に従ってはじき出される必要最小限の額。皆、国から得たギリギリの生活費でつつましやかに暮らしているのが実状だ。
生活保護を受けるためには、
役所の福祉課や地域の福祉事務所
に保護申告害を提出し、認定してもらう必要がある。ケースワーカーと呼ばれる福祉の担当者が本人の暮らし振りや経済状況などを細かく聞いて判断、具体的な金額を算出するという段取りだ。

対象となる条件はいろいろある
が、預貯金がゼロであることが大
前提。そのため、被保護者には何
らかの収入(労働による所得や年
金。生命保険金の給付など)があ
れば、福祉事務所に申告するよう
義務つけられている。


が、「ちょっとくらいなら」と
考える者も結構いるようで、中に
は申告し忘れていたり、過少申告
してペナルティを食らう者も少なくない。


厚生省の調べでは、こうした不正受給は全国で4063件、金額にしておよそ釦億286万円にも上ったらしい。
万一、不正がバレるとどうなるのだろうか。通常は不正で得た保護金のほぼ全額を返還しなければならないが、明らかに手口が計画的かつ悪質で、額が大きい場合、刑事事件に発展する場合もある。

この手の事件には暴力団関係者が頻繁に絡んでおり、意外な資金源となっているケースも少なくない。弱者のブリをしながら福祉を食いものにする不届き者は想像以上に多いのだ。
もっとも、こうした状況に国が黙っているはずもなく、厚生省では現在、被保護世帯の銀行預金調査や生命保険の加入状況、収入の有無などを調査、照会するよう徹底指導している。
ただ、現状ではプライバシーの問題からか本人の同意が得られないとなかなか調査に踏み込めなか
ったり、また都市部では保護世帯の増加に職員の数が追いつかず家庭訪問などの十分な調査ができていないようだ。こうした事情が犯罪の増加に拍車をかけているともいえる

いくつかの手口を検証しよう

生活保護を不正受給したとして女性と息子が詐欺容疑で逮
捕されるという事件があった。

警察の調べによればこの女性、
4年間にわたって、息子が土木作業などを通じて所得があ
ったにもかかわらず役所に生活保護を申請、約1200万を
受給していたという。1千万円を
超す不正受給は過去にもほとんど
例がないというから、親子ともど
も相当ウマク立ち回っていたに違いない。


冒頭で触れたとおり、生活保謹
は必要最低額を超える収入がある
場合、原則として認められない。
では、息子はなぜ収入があるのに
母親は金を受け取れたのか。これ
は、彼が土木作員であったことが要因している。


普通、収入の有無は、所得税の
納税額で判断される。会社軍なら
給料から天引きされるのでなかな
かゴマかしようのないところだが、
土木作なると話は別。日給で払ってしまえば、税務署も役所もお手上げだ。


また、たとえ本人が会社員であ
っても、個人事業者として会社側
と契約できれば、所得税は隠匿し
やすくなる。いずれにしても、ま
ず隠すべきは収入、つまり所得税ということだろうか。

まさかとは思うが、ほんの1年前にはこんな事件が起きているのだから世の中わからない。
男性が詐欺罪の疑いで逮捕された。知り合いの男性に
なりすまして偽造の申告書を福祉事務所に提出、生活保護費をだまし取っていたのだ。ちなみに、男がなりすました知人は、身よりもない上に、当時刑務所に服役中だったという。
福祉事務所の担当者も、よもや
本物の被保護者が塀の中にいると
は思いもよらかつただろうが、そ
うした特殊な条件が揃わない限り、
この手口をマネするのはなかなか難しい。
仮に、ホームレスの名前を借り
てくるとしよう。この場合、まず書き込む相手の情報、つまりは連絡先、本籍、収入などを完全に把握していなければならないし、福祉担当者が身元確認のために家族や親戚縁者に連絡を入れてくるので、そこでも辻棲を合わせる必要がある。

「ラクそうに思えるかもしれませ
んけど、これがやることあるんですよ」
確かに、一度支給され始められ
れば死ぬまでというわけではない。
あくまで一時的な金
だからノルマもちゃんとあります。もちろん、それには従ってま
すけど