泥棒・詐欺師犯罪例から考える防犯対策

実際にあった泥棒や詐欺のリアルな手口を犯罪者側の目線で物語風にご紹介。犯罪から身を守る手法を身につける参考にお役立てください。

トイレで用をたしているときの窃盗にご注意

このたび一身上の都合で、長年手を染めてきたドロボウ稼業から引退することになった。その罪滅ぼしというわけではないが、以下に俺がよく使っていた手口の一つを公開するので、ぜひ防犯に役立ててほしい。
 

それはズバリ、トイレでの窃盗だ。やり方は実にシンプルで、まずはトイレ内の個室に侵入し、隣りの個室に誰かが入ってくるまでじっと待つ。
 

ただし、この時の俺の体勢は、トビラの鍵と壁を足場にして、個室上部にへばりついている形となっている。ちょっと顔を上げれば、隣りの個室の中を覗けるような状態だ。
で、いよいよ隣りの個室に人がやってきて、便座に腰をおろし、大きいのをひねり出したその瞬間、隣り個室の荷物かけフックにすっと手を伸ばし、ぶら下がっているカバンを引っ張り込む。あとはそのまま一目散にズラかるまでだ。
 

被害者はパンツを降ろして大便中なので、当然、すぐには動けない。むしろ怖いのは、個室から「ドロボウ〜!」と大声を出され、それを聞いた善意の市民に追跡されることだ。
 

したがって、俺がこのトイレ盗を実践するうえでもっとも骨を折ったのが、犯行現場をどこにするかだ。試行錯誤の末、地方都市の中心から少し離れた寂れた駅、その外に設置してある公衆トイレとなった。

夜の時間帯、人がわりと頻繁に来る割には、周囲の人気が少ないという絶好の条件を満たすからだ。
 

言い忘れていたが、この手口は男女両方のトイレで実行可能である。先ほどの条件に当てはまるトイレを使っている方はくれぐれもご注意を。