泥棒・詐欺師犯罪例から考える防犯対策

実際にあった泥棒や詐欺のリアルな手口を犯罪者側の目線で物語風にご紹介。犯罪から身を守る手法を身につける参考にお役立てください。

高額紙幣対応の食券機を使ったサギ師にご注意

知人にせこいサギ師がいる。そいつの手口を公開するので、飲食店オーナーの方は注意していただきたい。
舞台となるのは、高額紙幣対応の食券機が置かれている飲食店だ。そこへ客のフリをして訪れ、1万円札を機械に投入する。


仮に、500円のメニューを選べば、当然お釣りは9千500円になるが、その際、釣り札の取り出し口からすばやく7千円だけ抜き取り、残りの2千円を極細の●●●●●●●●を使って、取り出し口の奥へグッと押し込む。


こうすると食券機は、札づまりのエラー音を出すので、店員が飛んでくる。そこでサギ師は言うわけだ。


「いま万札を入れたんだけど、釣り札が出てこないんだよね。詰まったのかな?」
こういう場合、まず店員は食券機を開け、中のデータを確認する。近ごろの食券機は客が機械に投入した金額とお釣りの額が表示できる仕組みになっているのだ。ちなみにこのシステムは、昔、カネも入れてないのに入れたと言い張って、釣銭をだまし取るサギが横行したため導入されたものらしい。


その点、この手口はちゃんと
「投入額1万円、お釣り9千500円」と表示されるため、店員は不審に思わない。より悪質で巧妙といえる。
さらにお札を逆流する形で押し込んだ場合、詰まった札を取り出すのは容易ではない。場合によっては、いったん食券機の電源を切り、内部の装置を取り外すなどの手間が必要なため、結局、店員はサギ師に9千円を渡してしまいがちなのだ。詰まった千円札が本当に9枚あるのかの確認も行わずに。
その知人いわく、
「高額紙幣対応の食券機なら種類に関係なくたいていこの手口は通用するよ」
とのことで、ずいぶんと調子に乗っているようだが、そのうちきっと天罰が下ると思っている。